こんな夜更けにバナナかよ|裏切られるけど勇気をもらえる映画(ネタバレあり)

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映画「こんな夜更けにバナナかよ ~愛しき実話~」(以下、映画「こんな夜更けにバナナかよ」と表記)を観てきました。

主演が大泉洋で、映画の予告編もコメディ風に描かれていたので、てっきりコメディ映画なのかと思って観たのですが、そんな予想は見事に裏切られました。

でも、とても感動した映画でした。大泉洋演じる鹿野に、勇気をもらえました。

今回は、そんな映画「こんな夜更けにバナナかよ」が、テーマです。

TOP画像の出典:MAiDiGi

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映画「こんな夜更けにバナナかよ」

映画「こんな夜更けにバナナかよ」は、タイトルに「実話」と謡っている通り、筋ジストロフィーを患った鹿野靖明さんと、鹿野さんを支えたボランティアの人たち(鹿野ボラ)との実話に基づいた物語です。

映画「こんな夜更けにバナナかよ」基本情報

監督:前田哲「ブタがいた教室」など)

脚本:橋本裕志「映画 ビリギャル」「リーガルV」など)

撮影:藤澤順一「空飛ぶタイヤ」など)

公開:2018年12月28日

制作会社:松竹撮影所

製作会社:「こんな夜更けにバナナかよ」製作委員会

  松竹

  日本テレビ放送網

配給:松竹

筋ジストロフィーとは?

映画「こんな夜更けにバナナかよ」主人公で実在の人物、鹿野靖明さんが患った難病・筋ジストロフィー

筋ジストロフィーとは、筋線維の破壊・変性(筋壊死)と再生を繰り返しながら、次第に筋萎縮と筋力低下が進行していく遺伝性筋疾患の総称のことです。

筋力が徐々に低下していき、体を動かすことが難しくなっていきます。

それだけでも大変なことですが、さらに厄介なのは内臓の筋力まで低下してしまうことです。症状が進行していくと呼吸さえも困難となって、人工呼吸器なしでは生きていられなくなってしまうのです。

映画中でも(実際でも)、鹿野さんは人工呼吸器を使用しています。

そして、さらに症状が進行していくと、弱った筋力のために心臓を含めた内臓も弱っていき、最終的には死に至ってしまうのです。

筋ジストロフィーは、日本での発症者が推計で約25,400人と言われ、有効な治療法が見つかっておらず、平成27年7月より国の指定難病に認定されています。

映画「こんな夜更けにバナナかよ」の原作、著者は

映画「こんな夜更けにバナナかよ」の原作は、渡辺一史著のノンフィクション小説「こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち」(文春文庫)です。

すべて、事実をもとに描かれています。

作者である渡辺一史は、名古屋生まれ、大阪育ち。北海道大学在学中に、キャンパス雑誌の編集と出会い、以来、北海道を拠点としたフリーのライターとして活動しています。

「自立」という道を選んだ鹿野の生き方は、時に自分自身の思いを貫き通そうとするあまり、身勝手な振る舞いにも感じられ、渡辺氏は複雑な思いを感じながら執筆に取り組んだそうです。

この状況をどのように書いたら良いか戸惑いながらも、最終的には障害者と介護者の感動話として仕上げるのではなく、その先を伝えるために、ありのままを書くというスタイルを取って、「こんな夜更けにバナナかよ」の原作は完成したそうです。

ただの美談では終わらない、ありのままのリアルを描いた内容が、多くの読者から「泣ける!」などの感想を、もらうことに繋がったのではないかと思います。

映画「こんな夜更けにバナナかよ」の主要キャスト

ここでは、映画「こんな夜更けにバナナかよ」の主要キャストを、紹介していきます。

鹿野靖明:大泉洋

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出典:LivedoorNEWS

映画「こんな夜更けにバナナかよ」主人公、筋ジストロフィーを患いボランティアたちから24時間体制で支えられて生きている鹿野靖明を演じるのは、大泉洋です。

大泉洋は、この映画で鹿野靖明役を演じるための役作りで、ロケ中でも食事制限と走り込みを行なって10kg減量したそうです。

さらに大泉洋は、鹿野さん本人が愛用していたメガネと似たメガネをかけ、その上わざと視力を落とすコンタクトレンズまでつけて、撮影に挑んだとか。


ここまで役作りに徹底した大泉洋に、鹿野さん(以下、敬称略)の親友も思わず鹿野さん本人と見間違えるほどだったそうです。

そんな大泉洋の1つ1つのこだわりに、映画「こんな夜更けにバナナかよ」を観た多くの人から、絶賛のコメントが寄せられているのも、納得できますよね。

安堂美咲:高畑充希

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出典:映画.com

三浦春馬演じる学生ボランティアで医大生・田中の恋人で、ひょんなことから鹿野の新人ボランティアスタッフとして働くことになる女性・安堂美咲を演じるのは高畑充希です。

高畑充希は、子どものころから女優として活躍する事を目指し、数々のオーディションを受け続けてきたそうです。その努力の甲斐合って、2005年に舞台の主演の座を手に入れ芸能界デビュー、その後も人気舞台に次々と出演します。

そして、人気ドラマやNHK大河ドラマにも出演を果たし、一躍人気女優に。2016年にはNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』の主役を務め、今や日本を代表する若手女優の1人にまで成長して、今後の活躍が期待されます。

そんな高畑充希は、2019年1月スタートのドラマ『メゾン・ド・ポリス』で主演します。こちらも楽しみですよね。

田中久:三浦春馬

出典:TOWNWORKマガジン

医学生の鹿野ボラで、心優しいけど要領が悪く、鹿野にいつも怒られてばかりの田中久を演じるのは三浦春馬です。

三浦春馬は、茨城県出身で4歳の頃から子役として活躍していたそうです。

その後、志田未来主演で話題となったドラマ『14歳の母』に出演し、一躍注目を集めるようになりました。

三浦春馬は、2009年にはドラマ『サムライ・ハイスクール』で主演を務め、岡田准一主演の映画「永遠の0(ゼロ)」では、悲運の天才パイロット宮部久蔵の孫で、将来を思い悩む青年の役を好演していました。

映画「こんな夜更けにバナナかよ」その他の主要キャスト

映画「こんな夜更けにバナナかよ」その他の主要キャスト紹介です。

  • 懸命に生きる息子を温かく見守る、鹿野の父・鹿野清役は竜雷太
  • 息子から嫌われていると思っているが、愛情を絶やさない鹿野の母・鹿野光枝役は綾戸智恵
  • 鹿野の体を本気で心配するあまり、鹿野に厳しく接する主治医・野原博子役は原田美枝子
  • 自立生活を望む鹿野とボラたちに協力する看護師、 泉芳恵役は韓英恵
  • 鹿野に憧れる車椅子の少年、島田亘役は宮澤秀羽
  • 鹿野と同い年で付合いが長く、鹿野ボラで兄貴的存在のベテランボラ、高村大介役は萩原聖人
  • 気さくな性格で、鹿野はもちろん若いスタッフからも慕われているベテランボラ、前木貴子役は渡辺真紀子
  • 鹿野に忠実で、新人スタッフへの指導がいちいち細かいベテランボラ、塚田心平役は宇野祥平
  • 田中と対照的に要領のいい鹿野ボラ、城之内充役は矢野聖人
  • 久の父で、医学の勉強よりもボラを優先する息子を苦々しく思っている田中猛役は佐藤浩市

以上ですが、脇を固めるキャストたちも、かなり豪華な顔ぶれですよね。

映画「こんな夜更けにバナナかよ」あらすじ(ネタバレ含む)

映画「こんな夜更けにバナナかよ」あらすじを、まとめました。映画「こんな夜更けにバナナかよ」のネタバレも少なからず含んでいるので、あらかじめご了承ください。

美咲、田中を追って鹿野ボラに…!?

1994年、北海道札幌市。34歳の鹿野靖明(大泉洋)は、幼い頃より難病の筋ジストロフィーを患い、今では首と手しか動かせなくなっていました。

鹿野は、24時間365日誰かの介助がないと生きていけない体にも関わらず、医師の反対を押し切って病院を飛び出し、市内のケア付き住宅で自らが集めてきた大勢のボラに囲まれ、自立生活を送っています。

わがままで、ずうずうしくて、ほれっぽくて、よくしゃべって…!

そんな自由すぎる男・鹿野を介助するボラは、彼と付き合いの長いベテランから、新人の大学生まで人さまざま。

その一人、医大生の田中(三浦春馬)はいつも鹿野に振り回され、怒られる日々。

田中の彼女である美咲(高畑充希)は、ボランティアを理由にデートをキャンセルされることが多かったことから、田中の浮気を疑います。

そんなある日、田中を追って美咲が訪れたのは、鹿野の自宅。鹿野は、女性ボラに囲まれて入浴介助の真っ最中。その場に出くわした美咲は、鹿野に新人ボラと勘違いされてしまいます。

そして美咲は鹿野に気に入られ、泊まり込みのシフトに田中とともに入れられてしまいます。

その晩、鹿野は不眠症という理由から深夜2時になっても眠りに就こうとせず、ワインを飲んではおしゃべりをやめようともしません。

そんな鹿野を相手に田中も美咲も疲れ果てる中、鹿野は思い立ったように声を上げるのでした。

「バナナを食べたい!」と。

一度言い出したら、テコでも動かない鹿野。仕方なく、美咲がバナナを求めて深夜の町を走り回ります。

やっとの思いでバナナを買って帰ってきて、鹿野の目の前に叩きつけるようにバナナを差し出す美咲。その目は、怒りで座っていました。

そんな美咲に、おののくように鹿野が一言。「うわぁ、グッと来た~」

鹿野、デートでおもらし…

その後も、田中に頼み込まれて嫌がりながらも鹿野ボラの一員として勤める日々を過ごす美咲。

ある日、田中をはじめとしたボランティアたちに、わがまま、横暴と取れる発言を繰り返す鹿野に、美咲はブチ切れて「あんた、何様?」と言い放ちます。

そして、鹿野と口論となり「サイテー、もう来ない!」と言って、家を飛び出したのです。

鹿野は暴言を吐きつけ美咲を追い出したものの、その日の夜になって美咲に手紙を書きたいと田中に代筆を依頼します。

美咲の彼氏である田中は、(自分が)彼氏だと言い出せずに、鹿野の美咲へのラブレターを代筆してしまうのです。

美咲は田中のお願いもあって鹿野からのお誘いを受けることになり、田中やベテランボランティアの高村(荻原聖人)付き添いのもと、ジンギスカンデートに向かうのでした。

美咲がいるので鹿野は上機嫌。

調子に乗った鹿野は、お肉を食べ過ぎてお腹を下してしまいます。鹿野の異変に気付いた美咲が急いでトイレまで連れて行こうとするも間に合わず、おもらししてしまうのでした。

美咲は「誰でももらすことはある」と鹿野を励ましますが、鹿野は平静を装いながらかなりへこんでいるようでした。

鹿野、声を失う。でも…?!

ある日、鹿野家に鹿野の母・光枝(綾戸智恵)が、ボランティアたちに差し入れを届けに来ました。でも鹿野は、自宅へやってきた光枝に対して「出ていけ、くそばばあ!」と暴言を吐き、光枝を追い返すのでした。

そんな2人のやりとりに疑問を抱く美咲。

でもこれは、母親には自分の人生を生きてほしいという、鹿野なりの想いから出たことだというのが分かります。

そんな鹿野の人柄を、徐々に理解していく美咲と、明るくド直球な美咲の性格に、どんどん惹かれていく鹿野

そして二人とは相反して、美咲との関係も医者になる夢もすべてが中途半端で、鬱屈とした気持ちを持てあます田中

そんなある日、事件が起こります。鹿野が病院へ担ぎ込まれたのです。そして、そのまま入院を余儀なくされます。

病気の進行により、内臓の筋力が低下し呼吸の機能が低下していたのです。生き延びるためには、人工呼吸器をつけなければなりません。

でも、人工呼吸器をつけるということは気管を切開しなければならず、声が出なくなることを意味していました。

鹿野にとって唯一の武器である声をなくすことは苦渋の決断ですが、生きるために鹿野は主治医の野原(原田美枝子)に「助けて」とお願いし、人工呼吸器をつけることを決めるのでした。

手術は成功、命を取り留めた代わりに声を失った鹿野。もう、鹿野の声を聞くことはできないと誰もが諦めた中、美咲は人工呼吸器をつけて話ができるようになった実例を見つけてきました。

希望の光が見えた鹿野やボラたちは、野原や看護師の泉(韓英恵)に内緒で、声を取り戻すための特訓を始めるのでした。

以上が、映画「こんな夜更けにバナナかよ」あらすじです。ここから先は、ぜひ映画館で確かめてください。映画「こんな夜更けにバナナかよ」を上映している映画館の情報は、こちらをどうぞ。

映画「こんな夜更けにバナナかよ」を観た感想(ネタバレ含)

ここからは、映画「こんな夜更けにバナナかよ」を観た、私自身の感想です。先ほどのあらすじ紹介と同様、ネタバレを含んでいるのでご了承ください。

映画「こんな夜更けにバナナかよ」に、裏切られた!

↑いきなりショッキングな見出しでゴメンナサイ。タイトルにもあるように、映画「こんな夜更けにバナナかよ」は、予告編だけで内容を判断すると、本編とのギャップに「裏切られ」ます。

私が、この映画「こんな夜更けにバナナかよ」を知ったのは、映画「ボヘミアンラプソディ」を観に行ったときに流れていた、予告を見てでした。

予告で流れていたのは、映画タイトルにもなっているバナナのエピソードです。

わがまま放題の(障害者役の)大泉洋

急に「バナナが食べたい!」と(大泉洋が)言い出して、しぶしぶ夜中にバナナを求めて探し回る高畑充希

やっとの思いでバナナを買ってきた高畑充希の目は、怒っている。そんな高畑充希にたじろぎながらも、大泉洋は一言。

「グッと来た~」

このやり取りだけが記憶に残るので、映画「こんな夜更けにバナナかよ」は大泉洋演じる障害者の鹿野と、鹿野に振り回されるボランティアたちを描いたコメディ映画なんだと、勝手に思い込んでいたのです。

そのまま映画公開を迎え、特に何の予備知識も持たないまま本編を観ました。

予告編でのバナナのエピソードは冒頭にやってきて、そのままタイトルコール。その後は、ストーリーの進行とともにコメディ要素は薄れていき、どんどんシリアスな展開に。(重苦しくならないよう配慮されていますが。)

コメディを期待していた私は、あえて悪く言うと裏切られたような、拍子抜けした気分でした。

これは私だけでなく、映画を観た多くの人が言っているみたいですね。でも、だからと言って映画「こんな夜更けにバナナかよ」が駄作だと言っているのではありません。とても感動する映画なのは、間違いありません。

大泉洋!!

まず何と言っても、主人公・鹿野を演じた大泉洋だと思います。

映画を見た有名人からのコメントにもありましたが、映画「こんな夜更けにバナナかよ」は、大泉洋のための映画と言っても良いぐらい、大泉洋のインパクトが大きいです。

先ほどもお話ししましたが、大泉洋は鹿野役のために10kg減量して、視力調整のために(悪くなるように)コンタクトも付けていたということから、大泉洋の並々ならぬ意気込みを感じます

大泉洋って、こんなにスゴイ俳優だったんだ…

大泉洋は嫌いじゃないけど、そこまでスゴイ俳優だと思っていなかったので、映画「こんな夜更けにバナナかよ」での大泉洋には、正直驚かされました。

映画「こんな夜更けにバナナかよ」は、大泉洋演じる鹿野目当てだけでも、観る価値があると思います。

鹿野のワガママは、ワガママ?

お話ししているように、良くも悪くも大泉洋の熱演ばかりが際立つ、映画「こんな夜更けにバナナかよ」。

とは言え、表面的に見ているだけだと鹿野は、夜中にバナナを食べたいと言ったり、無理難題ばかり吹っ掛けてくる、ワガママな人に思うだけです。

でも、本当にそうでしょうか?

バナナの話を例にしてみても、夜中にバナナは確かに無理な注文に思えます。私も同じ立場だったら、「勘弁してよ!」と思うでしょう。

でも、ちょっと視点を変えてみると、まったく違う見方になることに、気付かされました。

夜中に何かを食べたくなった事は、誰でも必ず1度はあるはずですよね。それは、健常者でも障害者でも関係なく、です。

健常者ならただ買いに行けばいいだけですが、鹿野の場合はそうはいきません。

歩くことはもちろん、首をまっすぐに戻すだけでも自力でできない鹿野は、バナナが欲しくなったからと言って、自分で手に取って食べることもできません。

ボラに食べさせてもらうしかないんです。

ここで気を使って遠慮していては、下手をしたら鹿野の生死に関わってしまう訳です。

鹿野は、生きられない

鹿野は、24時間365日ボラの支援がなければ、生きることができない。個人的に、それを印象的に表現していると思ったシーンがあります。

鹿野が入院するキッカケとなったシーン。鹿野と微妙な関係になった気まずさから、美咲はボラのシフトを急遽キャンセルします。

その日の当番・貴子(渡辺真紀子)は、美咲がキャンセルになったため残らないといけない。でも、娘のお迎えの時間も迫っている。

鹿野は、「ちょっとの時間なら大丈夫だ」と、貴子をお迎えに行かせます。その言葉に、「お迎えがすんだら、娘と一緒に急いで戻る」と貴子。

残酷なことに、事件はここで起こってしまいます。

鹿野は、喉の渇きから目の前にある飲み物を飲もうとするも、失敗してそのまま倒れ込んでしまったのです。そのまま身動きが取れない鹿野。心臓も弱って呼吸も満足にできず、子供が近くを通りがかっても声もあげられない

結局、貴子が戻るまで倒れ込んだままでいるのを余儀なくされるのです。時間にして、数十分だと思います。

そのわずかな時間でさえ、鹿野には命取りだったのです。

このシーンに、片時も目が離せない鹿野の病気の、深刻さを垣間見た気がしました。

鹿野のワガママは、命がけのメッセージ

鹿野への治療で、田中が自分の父親を説得するシーンで、田中が鹿野のことをこんな風に表現しています。

「鹿野さんのワガママは、命がけなんだよ!」と。

お話ししたように、鹿野はボラに付きっきりで助けてもらわなければ、生きていけません。

でも、だからと言って障害者は、病院で天井の穴を数えるだけの日々を生きなければならないのか?というと、そうではありません。

障害者も、人の助けがあれば自宅で立派に生活できるんです。その権利があるのです

大事なのは、自分の人生をどのように生きたいか、自分で決めること。

鹿野はこの信念のもと、施設を出て「自立」の道を選びます。

とは言え、「自立」への道は簡単ではありませんでした。

鹿野は誰かの手がなければ生きられません。だから鹿野は、自分の面倒を見てくれるボラを、自らが出向いてチラシを配って募集します。

そして、集まってきたボラたちにも、体位変換などの必要スキルを、自らの体を使って教え込んでいくのです。その際も、何度もボラたちと衝突したようなことが、劇中で明かされます。

すべては、お話しした信念のために。そして、障害者が健常者と対等に共存していく社会を実現するために。

鹿野が主治医の野原(原田美枝子)に言ったセリフで、「自分の命は自分で責任を持つ」というのがありますが、ここに集約されているのではないかと、思います。

鹿野は確かに重度の筋ジス患者ですが、それで卑屈になることなく、自分の生き方を自分で責任もって選んでいるのです。

だから、鹿野は「ワガママ」1つをとっても、潔さすら感じます。裏を返せば、それが出来ないから助けてくださいという、メッセージなのだから。

鹿野の「ワガママ」はただのワガママではなく、私たちに対する命がけのメッセージなのだと、気付かされます。

すぐ身近にある「死」

鹿野は、誰かの手を借りなければ生きられないことは、お話しした通りです。さらに、筋ジスは完治がない病気なので、死に向かってどんどん衰弱していきます。

劇中でも、鹿野は見る見るうちにやつれています。

そのためか、映画「こんな夜更けにバナナかよ」は、常に「死」が身近にあって、何気ないシーンでも鹿野がいつ死んでしまうか分からない緊張感が、付きまとっていたように感じます。

そういう状況にも関わらず、鹿野はとにかく前向きです。そして、とにかく生きることにこだわります。

そして鹿野の口から出てくるのは、いつも前向きな言葉ばかりです。

そんな鹿野の前向きな言葉に、美咲や田中をはじめとした、本来支援する立場のはずのボラたちは勇気づけられ、生きる活力をもらっているのです。

それはやはり、健常者の私たちよりも「死」が身近にある分、限られた命を自分の意志で生きたいという、鹿野の強い思いがあるからだと思います。

鹿野ボラは、鹿野のワガママに「なんだ、こいつ」と思って離れていくボラが多い中で、鹿野のもとに残り、鹿野のことを家族のように愛したボラも多かったそうですが、それがとても納得できました。

毎日を生きていられる奇跡

「死」が身近にあるというのは、鹿野に限ったことではないと思います。私たちだって、他人事ではないのです。

今は五体満足で不自由なく生きているかもしれませんが、次の瞬間には事故などで、それが奪われてしまうかもしれません。

今健康でいるからと言って、次の日も健康で生きていられるという保証は、どこにもありません。

毎日を、不自由なく生きていること。それ自体が奇跡なんです。

でも悲しいことに私たちは、普段何気なく生きていて、それを意識することはほとんどありません。失ってはじめて気づくのです。

偉そうに書いている私だって、もちろん他人事ではありません。

当たり前のようにやってくる毎日に、つい忘れがちになってしまいますが、当たり前に生きていられる奇跡に感謝して、今を大事に生きていこうと、鹿野の生きざまから勇気をもらったのでした。

まとめ

映画「こんな夜更けにバナナかよ」を見てきた感想や、あらすじネタバレ有)、原作情報などをまとめました。

映画「こんな夜更けにバナナかよ」主人公の鹿野は、たしかに重度の障害者だけど、生きるとは何なのか?を、その生きざまをもって私たちに教えてくれます。

ぜひ、映画館で確かめてみてください。公式ホームページは、こちら。

今日も、最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。



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